給与計算において社会保険(健康保険、厚生年金保険)料は、標準報酬月額を決めてそれに保険料率を掛けて計算することになります。
標準報酬月額さえ決めてしまえば、保険料率が同じである限り残業代などで給与が増えたとしても、前月と同じ額を天引きすればいいので、源泉税や雇用保険の計算に比べて楽にできます。
ただし、この標準報酬月額の計算時に通勤手当を入れるのか入れないのかで悩むことがよくあります。
社会保険においては、通勤手当は入れることになります。理由は、「賃金とは、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる 名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものをいう」ことから来ています。つまり、法律で規程しているのです。
税法では、「通勤手当は(一定の限度額前)非課税」と規程されていますので、同じ給与を計算するのに、解釈が異なるところが間違いやすい原因です。ご注意を!
人事・労務について
給与計算で間違いやすい点③
2011 年 1 月 20 日 木曜日給与計算で間違いやすい点②
2010 年 12 月 16 日 木曜日前回は基本中の基本でしたが、今回はややこしいので、間違いが非常に多い問題です。
社会保険は率の変更に伴い給与からの控除額を変更しなければなりません。毎年決まってあるのが厚生年金の率の変更です(平成29年9月まで毎年率が上がることが決まっています)。その際に、何月の給与から控除する額を変更すればよいのかという問題です。①9月から率が変更ですから9月の給与から?②9月分の社会保険料は10月末に支払うから10月の給与で控除すればいいのでは?どちらが正解でしょうか。
どちらも正解です。
ただ気をつけて欲しいのは、入社時と退社時です。入社する日にちはほとんどの場合その人によって異なるのではないでしょうか?上記の①で1日入社の方の場合は、その月の給与から天引きするので間違いにくいと思います。で間違いやすいのは締め日の翌日(月中)入社の方です。最初の給与支給は翌月になりますので、この場合は入社日の月と、翌月の2か月分の社会保険料を最初の給与で預らないといけないことになりますが、それを忘れてしまうことがよくあるのです。
次に退社時ですが、①で月の途中で退社される場合は、退社する月の給与から社会保険の控除は必要ありません。①で月末に退社される場合は、翌1日が喪失日になりますので1か月分預ることに。②で月の途中の場合は1か月分を、②で月末の場合は2か月分を預ることになります。
また、それだけではなく、給与の締め日との兼ね合いもありますので、より注意が必要になるのです。
会計上では、残り半分を会社負担するために預っていなくても福利厚生費として支払はされますので、監査でもなかなかチェックしきれない問題です。
給与計算で間違いやすい点①
2010 年 12 月 1 日 水曜日給与計算を初めてする方がなじみにくいのが、源泉所得税の計算と雇用保険の計算の違いです。(健康保険・厚生年金は別の回で)
源泉の計算は給与本体を計算の対象としますが、雇用保険の場合は給与本体だけでなく通勤費を含むところに大きな違いがあります。
これは、雇用保険法の第4条4項において、『この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。』とあり、賃金の定義が異なるところによります。
最近は給与計算ソフトを使う方が増えていますので、その場合は自動的に計算されてしまいますが、基本ですので覚えておいてください。