AIJ投資顧問の年金資産消失問題で、厚生年金基金の抱えている問題が表面化してきています。
そもそも厚生年金基金は厚生年金に+αして年金の額を増やし、社員の老後を楽にするという福利厚生の目的で作られた制度です。しかし、少子高齢化で受給者が増え、低金利で年金基金の運用が上手くいかないといった問題もあり、+αの上乗せ分だけではなく、国に代わって運用している代行部分に必要な積立金まで確保できていない状況になってきているのです。特に「総合型」と呼ばれる、同業種の会社の集まりなどで設立・運営している基金は、中小の企業も参加していて、問題を多く抱えているようです。
こんな話を聞くと、「自分のところは大丈夫なのだろうか」と心配が立ち、「だったら今のうちにやめておこう」という思いになるのですが、このやめること(脱退)も実は簡単ではないのです。財政状況が悪化している厚生年金基金をやめる場合は、脱退特別掛金を支払わなければ抜けることができないという問題があるのです。これは、脱退する事業所にも本来負担すべき債務分を、脱退の時に一括で負担してもらおうというもので、理論的にはおかしくはないようなのですが、どこか釈然としないものです。
4月16日付で民主党の作業部会で、この問題の検討に入ったというニュースが流れてきました。この問題だけではなく、表面化していなかったいろいろな問題がここに来て顕在化してきていますが、将来に先送りするのではなく関係している世代が責任をもって解決すべきだと考えます。
人事・労務について
厚生年金基金の問題
2012 年 4 月 24 日 火曜日週20時間のパートも社会保険加入?
2012 年 3 月 7 日 水曜日 社会保険加入要件の問題で、現在30時間(正確には常勤者のおおむね4分の3)以上働く人が対象になっているのを、20時間まで下げて加入する人を増やそうという改正案の審議が大詰めをむかえています。
この改正案いくつかの問題があり、その一つがそもそもパートで働いている人が社会保険に加入したいのかということです。あるアンケート調査では約4分の3のパートタイマーが社会保険への加入を望んでいないという結果になったそうで、あえて短時間で働く理由に「扶養の範囲で家庭の足しになるように」があるようです。
こういった問題を解決するためには年金等の抜本的な見直しをしないわけにはいかないと考えます。社会保険には扶養の仕組みがあり、被扶養者は健康保険料は払わなくてもよく、被扶養配偶者は国民年金第3号になり自分で年金を払わずに年金がもらえます。これが、短時間で働く大きな理由の一つになっているのです。一方で自営業者等が加入する国民健康保険の場合は、子供であっても人数割りの対象にされ、その分の保険料(税)を払いますし、年金は働いていない配偶者であっても第1号として国民年金を払うという制度になっています。2つを比較すると「ちょっおかしいんちゃうか」と思わざるをえません。
以前から言われている制度の一本化を行わない限り改善されることはないでしょうが、今の国会をみているとそういった抜本改革を協力しておこなおうという姿勢がないのは残念です。
65歳以上の退職者の雇用保険
2012 年 1 月 13 日 金曜日最近のニュースで65歳まで働けることを法律で義務化すると言われていますが、65歳まで働いて失業保険を受けるにはどうすればいいのでしょうか?
現在の法律では、65歳以上の人は原則として雇用保険の被保険者になりません。そのため4月1日時点で64歳以上の人は保険料の支払いが免除されています。
ただし、同一事業主の下で継続して働き65歳になった場合は、高年齢継続被保険者になり、失業した時は「高年齢求職者給付金」という一時金の給付を受けることができます。
では一時金ではなく基本手当を受けたい場合はどうすればよいのでしょうか?65歳になる前に離職した場合は基本手当を受けることができます(被保険者期間などの要件あり)。ただこの65歳になる前が少しややこしく「65歳になる誕生日の2日前に退職した」場合までが対象になり誕生日の前日の退職ではないのです。これは「年齢計算に関する法律」の定めにより、「誕生日の前日において満年齢に達する」とされているためです。
この年齢計算に関する法律は明治35年に施行され、『年齢は「出生の日より起算」し,出生日の応答日の前日の満了をもって年齢が加算される』というものです。
いずれにしても、65歳まで健康で働けるようにしたいものです。