店長に昇進してからは、時間外手当が全くつかなくなって、バイトの穴を埋めるために労働時間は増えたのに、給与は以前よりも少ない状態が続いている。
これは、某ファストフードの店長が訴訟をおこし「名ばかり店長」問題としてクローズアップされました。このときの裁判は地裁での判決が出て、その後控訴審に上げられましたが、和解が成立したため注目された上級審の判断は示されませんでした。
管理職の定義をどのように解釈するのかという問題になりますが、一方では店長が管理職でなければ誰が店長の勤務時間を管理するのか?という漠然とした疑問もおこります。
こういった問題を解決するためには、時間外手当に見合った役職手当が支払われているのかがポイントになります。管理職になる前に平均30時間の残業で6万円の時間外手当がついていた社員を管理職にした場合は、それを相当分超える役職手当をつけることが必要です。
また店長になった人は自分ひとりでがんばるのではなく、人を管理できる能力を身につけていかなければなりません。残業自体の考え方として、健康管理面からも必要最低限にすべきです。長時間労働が続くと、間違いなく仕事の効率が悪くなります。
物理的に日々長時間の残業をしなければならない職場は、労働者の人数を増やしてワークシェアをするという発想を持つべきかもしれません。
人事・労務について
残業代の未払いの問題⑤
2011 年 6 月 30 日 木曜日残業代の未払いの問題④
2011 年 6 月 13 日 月曜日完全週休2日とうたった会社に入ったはずなのに週休1日しかもらえない。このケースでよくあるのが休日出勤の割増分がきちんと計算されているのかという問題です。
よく間違いやすいのが、「うちは週休2日の会社なんだから、土曜に出るのは休日出勤だから35%以上の割増になるんじゃないの」というものです。
確かに休日出勤という言い方自体に間違いはないのですが、時間外手当を計算する上での『休日労働』とは少し意味が異なるのです。
労働基準法上の法定休日は1週に1回(又は4週に4日)与える休日のことです。ですから、完全週休2日の会社の場合に土曜出勤になっても、日曜が休みであれば土曜出勤は休日労働にはならず、35%の割増にはならないのです。
ただし、その土曜出勤が週40時間を超えての労働に該当する場合は、25%割増の時間外手当の対象にはなってきます。
例えば1日7時間勤務の会社で土曜出勤になった場合は、40時間-7時間×5日=5時間となり、土曜出勤のうち5時間は割増がつかない計算になります。この日に7時間労働であれば、2時間は時間外の割増がつきますが、この場合は時間外の25%割増で計算されます。
残業代の未払い問題③
2011 年 6 月 1 日 水曜日外出の多い営業マンには営業手当をつけているので、時間外を払っていないという会社は多いのではないでしょうか?
これには2つの点で注意が必要です。
一つは事業外労働制でみなし労働時間制をとっているかです。このみなし労働制は外に出ているため管理できないという理由で、これだけの時間労働したものとみなしましょうというものです。ですから、夕方に17時には帰社するケースは、17時まではみなしですがそれ以降は管理できるのでみなしの対象になりません。その場合、外出時のみなし時間と帰社してからの時間が法定労働時間を超えていれば時間外になります。
もう一つは、営業手当=時間外手当の場合に、そのことが営業社員に伝わっていて、その計算が問題ないかです。30時間分を営業手当で支払っているという場合は、社員にそのことが明確になっており、時給が2000円の人は25%増しの2,500円×30時間で、75,000円以上の営業手当が支払われていれば問題ないことになります。
現在の給与体系が基本給+通勤手当といったシンプルなもので、その中に時間外手当が含まれていると経営者が主張するのは無理があります。せめて、社員が給与明細を見たときに、時間外手当相当額がどこでいくら支払われているのかが分かるようにしておきたいものです。