タイムカードを使って出退勤時間の管理をしている会社は、そこに印字された時間が法定労働時間を超えている場合は、全て時間外手当をつけないといけないでしょうか?
経営側の疑問として『能力の低い社員ほど長い時間会社にいる』『電車の都合で始業30分前に来て、デスクで食事をしている』『一緒に食事に行く予定の人の仕事が終わるのを待つために、パソコンでウェブを見ている』などの場合でも、タイムカードに打たれた時間=賃金の対象になるのでしょうか。
これはタイムカードこそが正であるという、経営者も労働者も誤解しているところです。タイム・カードはその従業員の社内における滞留時間を示していることは間違いないですが、上司の指示に従って労働をしていたかどうかは別問題です。また時間の管理は必ずしもタイムカードで行う必要が無く、管理者が社員の出退勤時間を把握して、メモなどで管理できていればいいのです。
裁判の判例でも、認定されたものと否認されたものとに分かれます。管理が厳格にされていたケースは時間外が認定、管理が緩やかであった場合は否認されるという傾向にあるようです。
時間外の対策としては、残業してまで働かないといけない場合は許可制にすることです。『許可=原則禁止』を意味します。自分で勝手に残業することは禁止、必要な場合は理由と時間を上司に報告をさせて、必要と判断した場合に許可を出すというやり方です。社員にはもちろん、上司にも時間の使い方を意識させるためにもかなり効果はあります。
人事・労務について
残業代の未払い問題②
2011 年 5 月 25 日 水曜日残業代の未払い問題①
2011 年 5 月 11 日 水曜日そもそも残業代の未払い問題が起こる原因はどこにあるのでしょうか?
昨年の4月に労働基準法の改正が行われ、時間外労働の削減と年次有給休暇の有効活用を狙った内容変更が行われました。
改正が行われた背景には、長時間労働の実態があります。平成20年の総務省の「労働力調査」によると、週60時間以上の労働をする労働者の割合が10%、30歳代の子育て世代の男性に限ると20%が週60時間以上の労働をしているとの調査結果が出ています。
この週60時間の労働は、法定労働時間が40時間ですからそれを20時間も上回る(1.5倍以上)ことになり、36条協定で定める限度時間を上回り違法でもあります。
経営者は、週60時間の労働をさせていれば、最低でも基本給与額の1.5倍×1.25倍=1.875倍を支払う必要がありますので、基本の給与が20万円の場合で17.5万円の残業代となり、残業代だけでもう1人雇えるような金額を支払わなければならない計算になります。
争点になるのは、その時間外労働の解釈の仕方にあります。経営者の拡大解釈と労働者が立場が弱く法律を知らないのも問題です。
次回からいくつかのパターンについて考えみたいと思います。
随時改定の添付書類
2011 年 5 月 6 日 金曜日随時改定の要件に該当すれば「健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」を速やかに年金事務所に提出することになります。
その際の添付資料は?
原則不要です。
ただし例外が2つあります。
1つは、改定月の初日から起算して60日経過した後に届出をする場合です。速やかに提出できない場合や忘れていた場合などが該当します。
もう1つは、標準報酬月額が5等級以上下がる場合です。上がる場合は添付不要です。
添付書類として賃金台帳と出勤簿(タイムカードなど)の写しが必要です。これらは固定的賃金の変動のあった月の前月以降4ヶ月分が必要です。対象者が役員の場合は、賃金台帳(若しくは所得税源泉徴収簿)に加え株主総会又は取締役会の議事録などを添付することになります。
添付を忘れないようにしてください。