先日テレビ大阪のガイアの夜明けで「家電量販店の生き残り」をテーマにした番組を見た。
地デジ化でテレビ需要の先食いが行われた後の家電市場はかなり厳しい。そこで量販店はいろいろな策を考えて取組んでいる。
私がその中で最も気になったのが、ヤマダ電機の創業者山田会長の「安売りのために規模を拡大する」という信念を今でももたれているということである。
ヤマダ電機のように事業規模が拡大するにつれて購買力(仕入力)が向上したり、固定費負担率が減少することによって、利益率が高まる「規模の経済」に対して、規模が大きくなりすぎることにより不効率が発生する「規模の不経済」という理論がある。規模が大きくなりすぎると、自店同士の競合、不採算の店の増加、社員の質の低下などが起こるのは必然である。また組織は官僚化するということもよく言われることである。
また、メーカーもある一定以上の生産の場合は、コストダウンにも限界があり、いくら商品を大量に買い取るにも数%を下げることも困難になる。しかし、メーカーも販売チャネルを持たなければ売上を取れないので、力のある販売店の言うことにNOとはいえないというジレンマが発生する。国内家電メーカーの経営苦戦を見ると、量販店の安売りがメーカーの体力を奪ってしまうだけではなく、日本経済のデフレの一因となり、日本経済の体力を奪っているというのは言いすぎだろうか。
ヤマダ電機も創業はナショナル(現パナソニック)の販売店である。松下幸之助氏の共存共栄という理念はもたれていないのだろうか。