◆経営理念とは?
経営者にとって経営理念とは、経営を行っていく上で、その会社の目的、つまり、“なんのために会社経営をするのか”、“どのような会社にしていきたいのか”といった基本的なあり方を示します。経営理念とは会社の全活動の原動力となるもので、経営者がリーダーシップを発揮して、経営ビジョン・経営戦略・経営計画を策定していく上でも必要不可欠なものです。
◆経営理念はなぜ必要性なのか?
経営者なら、頭の中には“経営理念に近いもの”があると思われますが、経営理念を明文化されていることは少なく、社員にまでゆきわたっている会社はあまりないと思われます。
もし経営理念が社内で共有されていないと、社員は社長の普段の言動をそのまま会社の目指す姿だと思い込んでしまい(「擬似理念」という)、勝手な判断や行動をとってしまう危険性を生みます。
・「なぜ明文化が必要なのか?」
経営者が経営理念を文書として作成することは、『社員に対し、“うそ”を言わない、言えない、いわば相互不信を払拭する』ために必要なのです。
・松下幸之助氏の教え
松下幸之助氏は、『企業経営の成否の50%は経営理念の浸透度で決まり、残りの30%は社員のやる気を出す仕組み作りで決まり、残りの20%は戦略・戦術である。』と語っています。
◆経営理念の効果とは?
経営理念を会社の内外に示すことで、自社がどんな会社なのか(会社の姿勢)が明確になり
ます。それにより社員の判断・行動の指針が定まり、会社として一体感を生み出すことがで
きます。つまり、経営理念には、社内に、同一の危機感、共通の価値観、自信と信頼、感謝の気持ちといった好ましい企業風土を根付かせる力があるのです。
(1)社員のやる気が高まり、業績UPにつながることが期待できる他、景気低迷の際にも後ろ向きにならずに取り組むことも可能となります。
(2)取引先や金融機関に対して、安心・信頼を得ることにつながります。
(3)求人者に対し企業のイメージが伝わり、人材確保でも有利になります。
(4)よい経営理念、本物の経営理念は独自性を生む。(宮田矢八郎氏:収益結晶化理論)
◆あなたの経営理念の活用レベルは?
経営者が経営理念を作成することで、自身のモーチベーションが上がることになりますが、経営理念は作成するだけでは、会社全体がよくなることはありません。経営理念をより活用するためにあなたの会社の経営理念活用レベルをチェックしましょう。
・レベル1・・・経営理念をまったく作成していない
・レベル2・・・経営理念は社長の頭の中にのみある。
・レベル3・・・経営理念を書面で作成している。
・レベル4・・・経営理念を社内外に公表している。
・レベル5・・・経営理念が社員全員に浸透されている。
◆経営理念を作成しよう!
経営理念を作成するにあたっては、下記のような視点に立って考えてみるといいでしょう。
①経営者は何のために経営をしているのか?
②経営者が大切にしている価値観、人生観は何か?
③わが社の固有の役割は何か?
④わが社の取引先に対する基本姿勢は何か?
⑤経営者の社員に対する基本姿勢は何か?
⑥わが社の地域社会に対する基本姿勢は何か?
また、伝える、伝わることが重要ですので、わかりやすい言葉で表し、経営者が普段言っていること、行動していることとぶれないものとすることが求められます。
◆経営理念を浸透させるためには?
経営者にとって「事業を継続していくこと」が大きな使命ですが、継続成長している会社には、規模の大小を問わず、すばらしいと評価される経営理念があります。また、その理念を社員が共有できているという点も学びたいものです。下記のような方法で、是非経営理念を内外に浸透させてください。
①経営理念を事務所の玄関に掲げる。
②毎朝の朝礼で唱和する。
③会社案内やホームページに掲載する。
④採用の際に経営理念を理解させる。