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『経営ビジョンは目指すべきものを見える化することです(第4回)』

2009 年 10 月 8 日 木曜日

◆経営ビジョンの定義とは?
経営理念が哲学的な概念であるとすれば、経営ビジョンは、企業の目指す姿・形の“Visible(見える化)”なイメージです。
 企業が成長していく際に、組織の求心力を保つために、経営理念や経営ビジョンを通して経営スタンスを明確化することが不可欠です。また、経営理念や経営ビジョンはさまざまな経営戦略を実践・推進していく上での必要条件となります。

◆経営ビジョンに必要な内容とは?
経営ビジョンとは経営理念に基づき、目指すべき姿を定性的・定量的に具体的にしたものであるともいえます。
 経営ビジョンには、定性ビジョンと定量ビジョンの2つがあります。定性ビジョンとは、例えば、3年後の経営者が考える自社のあり方、あるべき姿です。一方、定量ビジョンとは、定性ビジョンを数値目標にしたもので、例えば、3年後の経営数値のあるべき姿をいいます。
 ①定性ビジョンとは?
事業領域(特化・多角化)・商圏(営業活動の範囲)・会社規模(組織・多店舗化・上場等)・顧客(既存・新規)・商品(特化・新商品等)・顧客満足・社員満足など
 ②定量ビジョンとは?
売上高・利益高・利益率・資本金・業界シェア・業界ランク・地域シェア・顧客数・営業拠点数・店舗数・従業員数・報酬(給料)・達成期限(いつまでに)など
◆経営ビジョンの作成手順とは?
経営ビジョンは、以下の手順で作成下さい。

STEP1・・・定性分析(SWOT分析)や定量分析(財務分析)により自社の現状を把握することから始めます。(目標を立てるには自社の位置づけを明確にすることから始めてください。)

STEP2・・・定性及び定量面について、X年後の経営ビジョンを策定します。

STEP3・・・次に、X年後に向けて1年目、2年目・・・・というふうに経営ビジョンを設定していきます。3年後の目標に向けての橋を渡す考え方をすることがポイントです。  

◆経営ビジョンを作成するポイント
経営ビジョンを設定するときのポイントは以下の通りです。
①経営ビジョンを経営者が単独で作成する場合は、その目的と意味を従業員に説明できるようにすること(経営ビジョンが分かりやすいこと)

②経営ビジョンは、経営戦略(経営ビジョンを達成するための方法)を念頭に置いて設定すること。(戦略的に考えること)

③3年後に目標を設定するのであれば、努力すれば到達可能と思われる目標で設定すること(到達可能性を検討する)

④経営ビジョンは1度設定したら変更が許されないものではないので、毎年見直すぐらい、柔軟に考えること(経営ビジョンは毎年見直すこと) 
◆経営ビジョンを達成するためには?
“ビジョン”は、企業にのみ存在するものではありません。社長、幹部、社員それぞれが、自分の人生においてもつ目標も“ビジョン”です。会社の“経営ビジョン”は経営のトップである社長が考えることが殆どですが、それを社員全員で共有することが最も重要です。
 しかし、多くの中小企業は経営者と従業員の意識の間には大きな溝(ギャップ)があるのが現実です。このギャップを埋める努力が経営者に求められます。経営理念の本質や経営ビジョンの達成が「なぜ必要なのか」ということを日ごろから議論することでそのギャップは少しずつ縮小していきます。
①経営者は従業員に対し、常に経営ビジョンを意識するよう働きかける。(動機付け)

②経営者は、何が何でも経営ビジョンを達成するんだという強い意思があることを従業員に伝えること
(コミットメントする)

③会社のビジョン→組織のビジョン→個人のビジョンという手順で、全体の目標から個人の目標にまで落とし込むこと(トップダウン・ボトムアップ)

④経営ビジョンの達成度の進捗管理を定期的(毎月、四半期ごと、一年ごと)に行うこと(進捗管理)

『中小企業は経営計画で“夢”を実現しよう。(第3回)』

2009 年 10 月 8 日 木曜日

◆成り行き経営はなぜだめなのか?

経済成長が順調な右肩上がりの時代は、売上高のアップが企業利益のアップに直接結びついていました。しかし、供給が需要を上回る経済、つまり物余りの今の時代は、同業者間の競争が激化し、売上の増加も鈍化し、利益の向上も厳しくなってきています。
 そんな今の時代の競争に打ち勝つためには同業他社が持つ以上の知恵とたゆまない努力が要求されます。つまり、“まじめにコツコツと働いている!”だけでは会社に利益とお金は残らないのです。これを経営者や幹部は理解しなければなにも始まらないのです。つまり、現在の経営の延長線にはあなたの会社の未来はないのです。
◆経営計画を作成する目的とは?
経営計画書を作成する目的はなに?一言でいえば、あなたの会社の“経営力”をアップすることです。 会社の経営力をアップするためには、①自分の会社の今をよく知ること ②これからどうしていくべきかを考えること ③その目標と目的を社員に落とし込み共有することが必要です。
 経営計画書はそのためのツールなのです。残念ながら、経営計画書を作成している企業が少ないのは大変残念なことです。”先のことは分からないから作らない!“という方に一言・・「先が読めないからこそ作るんですよ!」
 また今の時代ほど“社長力”が求められる時代はありません。社長力とは、先見性、問題解決力、リーダーシップ等であり、経営数値に基づく経営を実施することがその原点でもあります。その一歩目として、経営計画で現状を確認し、課題をみつけ、目標を立て、そこに向けてどうするのか(対策)を考えることが重要であり、経営計画書を作成することが、社長力をアップする近道なのです。

◆経営計画書の全体像は?
当社が提唱する経営計画書は、大きく3つのフェーズに分けて策定することとしています。
 1つ目は経営理念や行動指針などの経営者の経営に対する思いを表わしたものです。会社を設立する際に「なぜこの会社を作ったのか。」「どのような会社に育て上げようと考えたのか。」などを思い出せば自然と出てくるものです。
 2つ目は経営ビジョン、経営戦略などの目指すべき会社の方向性を表すものです。これを作成し、社員に示すことで会社の向かうべき方向性(ベクトル)が決まり、“社員力”が結集されるためにも必要不可欠なものです。
 3つ目は売上計画、利益計画や資金計画などの経営数値計画です。売上や利益といった数字で目指すゴールを明らかにするものです。通常の経営計画といえば利益計画書を作成することになりますが、当社では、上記の3つの考え方をミックスした経営計画の策定を提案します。

◆弊社お勧め経営計画書の特徴
当社の提唱する経営計画は、経営計画書の入門版との位置づけで、作成のしやすさをテーマに構成しました。
 1.まず前期の実績数字と今期の今までの実績数字を対比することで、ご自分の会社の現状を見ることからスターとします。
 2.次に、今期のこの後をどうするのかを考え、それを達成するための計画書を作成します。
 3.これからの業界等の外部環境や自社の内部環境がどうなるのかを予測することで、自社のあるべき姿を定義し、来期以降の自社の売上=利益の3ヵ年計画を作成します。
 4.最後に初年度の売上=利益計画を月別に落とし込み、売上、経費、キャッシュ面から達成可能かどうかの裏づけをとり、達成可能な計画にしていきます。(この作業が一番大変です)
 弊社が提唱する計画の特徴は、計画が絵に描いたもちに終わらないように、“裏づけ”を取ることです。

◆経営計画書を活かすためには
経営計画書は作成して終わりではありません。運用することこそが経営者の最も重要な仕事です。つまり、これを活用し、会社の業績を上げていくことが最終目的であり、そのためにはその活動に日ごろから社員を巻き込んでいかなければなりません。
①社長の考えを社員に浸透させる・・・・社長と社員の考え方には必ず大きな溝が存在すると考えてください。したがって、経営者は経営計画を“経営の羅針盤”として、従業員とのコミュニケーションツールとして活用ください。
②社員に経営参加意識を持たせる・・・社長は、オープンブック(経理の公開)により、毎月の会社の財務状況を社員に公表すべきです。しかし、全ての経営数字を公開する必要はありません。経理を社員に公開することで経営者に対し信頼感を得ることにつながり、会社のために働くという意欲を持つことにもなります。
③社員と一緒に考える場を作る・・・全員参加の経営会議を毎月実施することにより、社長と社員が経営活動結果を話し合うことです。会議ではP⇒D⇒C⇒Aのサイクルを廻せるように、常に、計画、実践(実行)したら、反省(検証)し、次にどうすればいいのかを考えることが、“経営力”“社長力”“社員力”のUPにつながるのです。

『月次決算の役割とその活用(第2回)』

2009 年 10 月 8 日 木曜日

◆月次決算とは?
会社の業績や経営上の問題を正確に把握することは意外と難しいものです。また経営者にとってビジネスチャンスや業績悪化のシグナルは見落としがちなものです。決算書は会社の業績を正確に表す鏡であり、会社が進むべき方向を示す“経営の羅針盤“と言えるでしょう。特に毎月作成される月次決算書は、会社の経営状況(問題点や課題)をすばやく把握し、早めに手を打つことが出来る最強の業績改善ツールなのです。

◆月次決算の目的とは?
「1年に一度の決算をしていれば問題ないの?」とお思いの経営者が多いのではないでしょうか。月次決算と本決算の大きな違いはデータの信頼度と鮮度にあります。
 1年に一度作成される決算書は節税対策などを行ったために実態を反映していない場合がよく見られます(信頼性の欠如という。) 。よって、その数字を使って財務分析や計画を立てても意味がない場合があるのです。
 鮮度があり、信頼できる会計数値を時系列で表しているのが月次決算書です。又、「月次決算なんかしなくても数字はつかめているよ。」という経営者がいますが、それでは重要な問題を見落とすリスクがあります。ビジネスの世界では結果が重要ですが、その過程をきちんと見ていくこと(原因分析)も重要なのです。(結果の管理は三流で、原因の管理が一流です。)

◆月次決算の効果とは?
月次決算にはどのような効果があるのでしょうか?5つの具体的な効果をご説明いたします。
①今月は黒字なのか赤字なのか、資金繰りの状態は?など問題点の発見ができ、早めの対策が打てます。
②予実績管理により、年間の目標数字に向けての進捗チェックができます。
③毎月の試算表をチェックすることで、仕訳や転記のミスを早期に発見することができます。
④金融機関からの資料提出に対応可能です。
⑤年度の最終利益の予測が可能となり、早い時期からの決算対策が可能となります。

◆月次決算と経営計画の関係
“PDCA”という言葉を聞かれたことがあると思います。“P”とはPLAN(計画)、“D”とはDO(実行)、“C”とはCHECK(確認)、“A”とは、ACTION(修正実行)をいいます。これを経営のマネジメントサイクルといいます。今回のテーマの月次決算はCHECK(確認)に当りますが、月次決算の定義を広く捉えると“PDCA”のすべてが月次決算ということが出来ます。  
 中小企業の場合は、まず DO(実行)とCHECK(確認)をしっかりやる。その流れがきちっと出来たら、次にPLAN(計画) を策定し、DO(実行)、CHECK(確認)の流れを作る。そのようにマネジメントサイクルのレベルを徐々に上げていくことが業績の向上につながるのです。つまり、月次決算とは、この“PDCA”の流れにそった経営を実践をすることなのです。

◆月次決算をレベルアップする7つの対策とは?
月次決算のレベルアップを図るためには経理担当の努力だけで出来るものではありません。
“会社ぐるみ”の協力が必要となります。7つの対策をご提案します。
・対策1・・・月次決算の目的をハッキリさせる。
・対策2・・・経営計画を制度化する。
・対策3・・・経理部門以外の改善を行う。
・対策4・・・無理なく段階的に進める。
・対策5・・・日々完結に徹する。
・対策6・・・情報システムを活用する。
・対策7・・・図表化、グラフ化による“見える化経営”を行う。

◆月次決算で社長が見るべきポイント
損益計算書からは、会社の売上・利益を把握し、貸借対照表からは、資産と負債のバランスより現在、未来の資金繰り状況を把握することができます。
(月次決算書における最低限のチェック事項)
・売上の変動(前年・前月比較)・・・前年、前月、計画と比較し、差異原因をチェックする。
・粗利益(率)の変動・・・前年、前月、計画値と比較し、差異原因をチェックする。
・在庫の変動・・・在庫が極端に増えていないか、また欠品が出ていないかをチェックする。
・経費の変動・・・異常に増えている経費が無いかをチェックする。
・売掛金の残高・・・売掛金の回収が遅れていないかをチェックする。
・キャッシュフロー・・・キャッシュの残高とフロー(営業C、投資C,財務C)の動きをチェックする。


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